レオパルドンリーダー高野政所(まんどころ)ロング・インタビュー その1

2002年12月新宿小便横町にて
 
 

ナードコア・オア・テクノ?

JAPATTACK:テクノのファンからレオパルドンの音を「コレちがう」っていう反応はありました か? 

TAKANO:それは昔からですよ。異端でしたから。テクノ作ってるような人は例えば、かつてのケン イシイさんみたいに海外レーベルからアナログレコードをリリースして、日本に 逆輸入、みたいな形でメジャーになるってコースを望んでる人が多いと思います。で もケンイシイは日本に一人でいいんですよ、だから同じ事をやっても面白くないし、シリアスなテクノなんて世界にも日本にもいくらでもいるわけだし。  

J:ジャンルとしては「ナードコア」としているんですか? 

T:あれはQUICK JAPANの記事で広がっちゃったということなんで、既に自分たちは言っ てないんですよ。 ナードコアであまりにも偏った方向から注目されて、別にナードコアだからといってアニメだけ好きなわけではなくてそれなのにオタク文化を代表するみ たい受け取られ方をしちゃって。今はレオパルドンは「川崎ミュータント・マシン・ファンク」のユニット(笑)当時、ナードコアと呼ばれたグループが何組か いたんですけど シャープネルとかカラテクノとか。ちなみにシャープネルというのはその方向でうまく 成功したみたいですね。コミケなどでCDを販売してかなり稼いでると聞きます。 

J:コミケで? 

T:ええ、だから音楽シーンとはあんまり関係ないんですよ。だから シャープネル は秋葉原系でそちらの層にがーっと売れているんですよ。なので、そちらのほうがむ しろ言葉の意味や客層を考えると正統派のナードドコアとよぶに相応しいと思います。 その辺はやはりオタクでアニメ好きでエロゲームやってる人でなければ、聴いてて面 白さが分からない感じがするので、あまり個人的には興味がないですね。自分はアニメもそれほど見ないし、エロゲームもやる方じゃないので。それが悪いって いう事で はなくて、僕には分からないです。それよりも単純に声だけとか言葉だけで笑えるのが好きですね。例えば吉幾三ネタの「雪江」の手法だったり、その元ネタを 知らなくても伝わるモノに興味があります。 

J:普遍性がなさそうであるネタですね。 

T:そう、それをウチがやっていきたいんですよ。 

J:なるほどー。 

T:レオパルドンを聴いていて気に入ってくれるひとは「コレってもしかしたら私にだけわかるので は?」という感覚があるんじゃないかなと思うんですけど。 

J:でも、周りのひと達とも共感できるかな?と思わせる部分もあるんですよよね。 

T:その微妙なところを突くっていうかんじですかね。 

J:映画ネタはどうですか? 

T:まあ単純に言葉が面白ければサンプリングするって感じですね。 
 

サンプラーマンになるまで

J:メルティーさんが入ってきてオシャレ系っぽくもなりま したね。 

T:あれは、オシャレかなぁ?(笑)80年代のパロディっていうか(笑) 

J:でも今80年代が流行ってますよね。 

T:そうですね、メチャメチャ流行ってますね。カイリー・ミノーグもまた出てきま したしね。NEW WAVE ぽいのもまた流行ってますからね。あとテクノも80年代的な音。今 はどこのクラブいってもああいうの掛かってかますよ。 

J:そうなんですか? 

T:ええ、ビッコンビッコンいってるような音で。 

J:どういうところ でライヴをやっているんですか?クラブですか?ライヴハウスで すか? 

T:どっちでもやってますよ。新宿のロフトとかロック派の人とでも、渋谷のクラブ DJの人たちとも一緒やったり。 

J:どちらとも出来るのがいいですね。 

T:吉幾三とかの大ネタをバーンとやっちゃえばどちらのタイプの人もついて来るんで ずるいんですけど。(笑) 

J:いえいえ。誰もマネできないですよ。もともとは高野さんお一人でやっていたんで すよね。 

T:そうです。 

J:大学に入ったあたりからですか? 

T:高校時代から電気グルーヴとかよく聴いていて、大学入ってから曲でも作るかな と思ってサンプラー買ったらそんなのしかサンプリングしないわけですよ、テレビつ けていい場面があればガーっとケーブルを繋いでサンプリング。ひとりで家でやって ましたよ。そして狭ーいクラブで今のウチのレーベベルの代表の渋田君とイベントやっ てました。 

J:何年くらい前ですか? 

T:5年ほど前ですね。全然マイナーでやっていて。で、イベントやっていてもしょ うがないってことでレーベルを作ろうという話になって俺と渋田君とで吉幾三とかフ ランダースの犬とかをサンプリングして(アナログレコードを)つくったんですよ。 で若手の物好きDJなどに全国で受けたんですよ。でそうやって曲を掛けてくれたお陰でソコソコ知名度もついてきて。 

J:3年ほどまえにQUICK JAPANで記事をみたのが最初だったんですよ。(その他、ナ ードコアというジャンルとして多数のNERDISHな音をサンプリングしたテクノグルー プを紹介していた号) 

T:そう、他のグループもそれぞれ当時やっていたみたいなんですけど、ちょうど就 職活動でインターネットをやらなきゃならなくなって、結局就職は失敗したんですけ ど(笑)、使い始めたら結構そういう人たちがいるってことに気づいたんですよ。で、こういうメンバーで集まってイベントやったら面白いじゃんということ で、カラテク ノやってたTOY LABELの中島君たちと一緒にナードコアって名前をでっちあげて。 

J:それで、レーベルもつくってその他のグループもそこからCDを出したわけです か? 

T:レーベルは各々ですね。シゲト(=232COMIT)は当時ソロやっていたんですけども、エンジ ニアやマスタリングをやってもらっていたんですよ。それだけ、技術的な部分プラス、笑いのセンスやカッコイイと思うものがすごく似てるんで、だったら一緒 に組んでやろうかという事になって。 

J:その232COMITさんですが、彼が16歳の時にドイツのレーベルにパクられたという事をきい たのですが。 

T:そうなんですよ。でもテープを送ってSPEEDFREAKってやつが自分の曲として出して世界中 で大ヒットしたという。(笑) 

J:ひどい話ですね。訴えればよかったのではー? 

T:まぁ10なん歳とかだから、どうしていいのか分からなかったんじゃないですか ね。 

J:でも10何歳でそういう事をやっている自体が...。 

T:そう、怖ろしいですよね。 

J:すごい幼いときからやっているんですね。天才?! 

T:職人肌ですね。アイツは中学のときからテクノつくっていたんですよ。YMOとか聴いてて。  

J:80年代はじめにほうから? 

T:そうですね、僕が特撮のテレビ番組見て喜んでたような時代から。 

J:彼はおいくつなんですか? 

T:僕と同い年ですよ26です。  (2003年時点)

J:もう赤ちゃんのときから聴いてますね。 

T:そうすごいんですよ。全然僕の方が音楽的にはユルいんですよ。 一回イベントで 「「ゴルフって言うネタで曲を作ってみよう」というのがあって僕が作ったのが「吉幾三のコレが本当のゴルフだ」っていうののサンプリングで 232COMITはサンプリング使 わないでゴルフっぽい音を作っちゃうっていう差ですよね。(笑)メチャメチャ笑い ましたよ。 
 

メンバー

J:初期に相方をやっていたれた方は? 

T:一番最初に相方をやっていたのはDJ急行っていう人です。 

J:アルバムにクレジットは入ってましたっけ? 

T:彼は音楽制作のほうは一切タッチしていなくて、ライヴメンバーでした。 

J:MCですか? 

T:そうです。一時期は急行、僕、シゲト(=232COMIT)という編成でやっていたん ですけど、まぁいろいろあって(笑)僕も仲裁するのも大変なので辞めてもらって離れていった感じです。で、大学の時の友達で今のライヴメンバーでやってい いるMB譲二がMCとして、入ってきたんです。 

J:急行さんはいつ辞めたんですか? 

T:今年の2月には辞めてて。メンバー編成が色々あって。 

J:じゃ 急行さんは音楽を辞めちゃっているんですか? 

T:いえ、音楽はやってますよ。イベントをオーガナイズしたりハッピーハードコア やガバのDJをやってますよ。かなり人気者ですね。 

J:「吉幾三にはついていけねー」ってことになってですか?(笑) 

T:あーそれはー、まぁ、そういう部分はあるかもしれないですね。(笑) 

J:ははは (笑)あの、「寄生虫」ってそういう曲なんですか? 

T:想像にお任せしますって、これじゃ意味ないな。(笑)まぁそれだけの意味じゃなくて、あの曲で 歌ってるような人間ってどこにでも見回せばいるじゃないですか? 

J:聞いて良いのかどうか分からなかったのですが。 

T:彼が抜けた後に、自分の事を陰でいろいろ言ってるみたいだったんで、「だった らオレ曲にして出すよ!」って。じゃあ歌うしかないでしょうってことになって。 

J:いいですねぇ。 

T:ちょっと海外のヒップホップのDISり合戦気取りで。(笑) 

J:ああ、EAST vs WESTですね。 

T:そうそう、The Notorious B.I.G.みたいなカンジで。でも今は普通に急行とは接してますけれどもね。 歌われた方はたまらないと思いますが(笑)ここで謝っておきます。 スマン!まぁ、やられたらやり返して、それで終わり。後は握手、って事で。 

J:男っていいですね(笑) 
 

反響

J:最初のアルバムはタワー・レコードのインディーチャート で2位になったんですよね。 

T:当時は新宿と渋谷店でのチャートでだったんですが、今回はタワー全国店のインディーチャートで5 位なんで実質は前よりいいんですよ。 

J:そうですか!でも最初のアルバムの2 位もマイナーだったのに凄いです よ! 

T:そうですね、ライヴもちっちゃいとこだけでやっていたわけでしたしね。ライブは結構盛り上がる感 じになってますよ。 

J:ギャルがキャーって? 

T:いや、ギャルというより野郎中心ですけど。(笑)今は渋谷にある「ISM」っていうテクノ系のク ラブを中心にやっているんですけど。その中でもテクノってマイクもってやる人があまりいないんでその点で、もう僕ら有利ですよね。(笑) 

J:おおーそうですね、いくらでもノせられますね。 

T:そうそう、隙間産業でノせてますが。  テクノって言ってりゃ、そういうジャンルに組み込まれるかな。と(笑) 今は3rd をつくっているんですが、「面白サラリーマン向け」というテーマでやって、会社の 人気者みたいな人が(レオパルドンの)CDを買ってきて会社で「これ面白れーんだよ」 ってさも自分が作ったように自慢できる内容のCDを。(笑)  面白サラリーマンにウケるものをつくりたいんですよ。 
 

アジア文化オブセッション

J:今30代以降のサラリーマンは元気がないような気がするんですが、反面、20代の日本の若者って 変なことしてますよね。ここ5-6年の間に日本では嘗ては自国以外(主に西洋)のモノにあこがれるっていうものがどんどんなくなっているような気がするん ですが。 

T:そうですね、最初僕らが吉幾三のサンプルとかしていたら「日本のものやっててダセーよー」ってい われていたんですが、僕から言わせりゃ「日本語でない曲やってて意味わかんねーよ」って感じで、英語で酷い言葉を言ってたりしていてもそんなのは日本語で 言えば意味わかるじゃん!って思ってって。でも未だに拒否反応はあり ますねえ。 外人が日本語サンプリングしたのは喜ぶくせに、日本人が日本語サンプ リングするとダサいと思われる。 なんじゃそりゃ?っていう。 

J:テクノに日本語が合わないと誰が決めたんだーってことですね。 

T:そう、YMOはメチャチャ日本じゃん! 

J:一方、韓国のイ・パクサがやっているポンチャックは日本でも人気出ましたね。彼 にレオパルドンがパクられたらしいじゃないですか! 

T:ええ、(笑)全然知らないところでやられていて、韓国のもうないんですがテクノレーベルでやって いたんですよ。僕と、232COMITはもともと「韓国って面白れーよな」って話をしていて。韓国のアイドルとかメチャメチャ面白いんですよ。  

J:BoAとかいますね。 

T:BoAも日本デビューするまえから注目していて、男のアイドルも面白いんですよ。 

J:へぇー。 

T:穴開き手袋とかしてるんですよ。バイクのプロテクターとか着て歌ったり。 

J:あー。G. O. D.とかいますね。 

T:そう、G. O. D.あと、H. O. T.、神話(SHINWHA)(笑) 

J:あははは。(笑) 

T:あそこらへんはメチャメチャかっこよくて、プロモビデオとか観て「うわ、かっこええー!」って。 (笑)で「韓国行きてぇー」て思って、韓国のテクノを調べて、 「俺ら日本のテククノアーティストだからちょっとやらせろよー」って言って行ってやったんですよ。もう終わったんですが一昨年くらいにテクノブームが韓国 であって、 イ・パクサが再評価されて、でもまぁ半分カラカイみたいな感じだったんですけど、そ のときにちょうど、(レオパルドンの)曲を使われたんですよ。 

J:なるほど。韓国人にいわせると、イ・パクサはダサイって感じみたいですが。 

T:韓国人は イ・パクサはメチャメチャ国の恥だと思われているみたいですよ。 

J:でもひょっとしたら10年後に彼はカッコイイと思われるんじゃないでしょうかね。 

T:そうかもしれませんね (笑) 

J:今、日本もアメリカも何となく世界的にナショナリズムに目覚めているような感じがするんですが。  

T:そうですね。 

J:他国のものを使うのではなく、自分のルーツを掘るというか。ラップとかやっているようですが、 ちょと恐くてはいれないんですけど。 

T:うーん。キングギドラとか。 

J:ゲイ・バッシングしたそうですね。 

T:「ニセモノ野郎、ホモ野郎」ですね。(笑)キングギドラ、僕大好きなんですよ。半分距離をおいて 好き、という意味で。 

J:名前からして好きそうですよね。 

T:リーダーのK DUB SHINE っていう人がメチャメチャ好きで。カッコいいっていうかどこか笑っちゃうんですけど。 

J:そうなんですか?笑えるんですか? 

T:っていうか、本人は メチャ メチャ真面目なんですが、真面目すぎて。長淵剛をみて笑っちゃうような感じですよ。本人はマジなんだけど、周りはゲラゲラ笑っているよ うな。で、子供達を救えっていう「SAVE THE CHILDREN」という曲があってマジで 幼児虐待のことを歌っているんです。その錆の部分が「もし、殴殴られている子供がい たらすぐ俺に言え!」っていうフックの曲で、最後「〜すぐオマエが行け!」って言うこと変わちゃってるんですけど、マジなんですよ本人が。ライヴでやっぱ りそれを 聞いて笑う奴がいるわけですよ、単純にK DUB SHINEが面白いから。でもそこで K-DUBは怒るんです。「何笑ってんだよ、マジなんだよ俺は」って説教はじまっちゃ うんですよ。最高ですよ。最近はナショナリズムっぽい映画に曲も提供していて「凶 気の桜」っていう。 

J:アツイのがいいんですねー。 

T:メチャメチャ好きですよ、半分憧れ、半分笑ってる感じですね。 

J:そういうリスペクトの仕方は米国にも小さくありますね。愛くるしいゆえに笑ってしまう。 日本映画にはまる西洋人とか。逆の方法ではマイケル・ムアーはマジなネタをあえて笑わせながら提供してくれたり。そういえば北朝鮮が出場したプサンでのア ジア大会にやってきたた「美女応援団」も笑えましたね。 

T:メチャメチャ面白いですよね。 

J:多分コリアの男の子であれみて笑った人いたんじゃないでしょうかね。表だっては出ないでしょうけ ど。 
 

T:若い世代はそうみたいですね。中年以降は反日でバリバリなんですけど、韓国行ったときに若い連中 とキム・ジョンイルのネタとか話していて、「ノドン・テポド ン・レオパルドン」とかいっていたらゲラゲラ笑っていましたよ。(笑)若い奴は結 構そういう冗談が通じてて日本の文化も好きみたいですし。闇ルートでけっこう情報 も入手できるようでしたよ


 
 






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